エッセイコーナー
109.エッセー書き方講座  2014年11月24日

一関市立図書館主催、当館名誉館長及川和男先生によるエッセー書き方講座の第一回目が、昨日一関市立大東町図書館で行なわれた。私は昨年も受講しており、2年目となる。復習の意味や、刺激を受け、書く事への奮起を促す意味もあるが、何よりも学ぶ事が楽しいのである。
受講者の内訳は、下は10代から80代の高齢者迄の老若男女。年代巾もかなりのものだが、皆意欲満々のようだ。
中でも、現役の女子高生が参加しており、是非ともしっかりと学んでいってもらいたい。

講義は、文芸作品としての完成までレジュメにそって順に進められた。
体験と創作の関係では、モチーフの重要性について説明を受けた。ここで云うモチーフとは、絵画などのモチーフの意味とは違い、「書きたい」と思い立つ原因・動機の事をいい、文芸に於いては極めて重要なポイントとなる。

題名のつけ方は、以前、一関市・文学の蔵が開いた井上ひさしさんによる作文教室で、「題名をつければ3分の1以上は書いたも同然だ」と話されたそうだが、それだけ題名は重要だということである。
何を書きたいか、自分が書きやすく、常に意欲を持てるような題名をつけることが重要であると、及川名誉館長も力説しておられた。
確かに、私もエッセーなどを書いていて一番苦労するのが題名だ。
特に私の場合、最初に題名をつけて書き進んでいくのはいいが、書き進めば進む程横道に逸れていく。最終的には題名を変更せざるを得ないなんてこともしばしばだ。

構成については、漢詩の絶句を起源に持つ起承転結や、能から出たとされる序破急などの構成の説明や、文芸の基本である、誰が・いつ・どこで・何をしたかの4要素の説明を丁寧に解説された。
故・大宅壮一さんは、嘗て「本は読むものではなく引くものだ」と云って4万冊以上の蔵書を活用されたが、故・井上ひさしさんによれば、「辞書は引くというよりも読むものだ」と云われたそうだ。

おおまかにまとめると以上の内容で講義が進められたが、エッセーや随筆といった文芸は、公開する事を前提に書く必要があり、読者に、その文章をとおして「擬似の体験」をさせる事を念頭に置きながら、その文脈が読者に届いた時に初めて完成されるもの。
その完成までの過程には、文芸書を読み、多くの間接的体験が必要であり、優れた作品の模倣もまた必要となる。
模倣から始まって創造へと進出するには大きな努力が必要だが、文章力上達への道はそれ以外にない事を心に銘記すべきだと結んでいる。

次回の講義は2週間後。それぞれ原稿用紙3枚分の作文を提出し、講義当日各自が朗読し、及川名誉館長の添削によるアドバイスの実作指導が行われる。
昨年のエッセー書き方講座の折り、「辞書を持ってきた人?」と尋ねられた事を思い出し、今回は自信を持って「ハイ」と手を挙げた。持参の辞書は、つい先日竹馬の友から贈られてきたばかりの『三省堂現代新国語辞典 第五版 』だった。





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