エッセイコーナー
108.友が主幹の新国語辞典  2014年11月22日

昨晩自宅に戻ってみると、テーブルの上に小包が置いてあった。
昨今の連絡や用達は殆どがメールなどの伝達媒体で事足りるため、手紙や葉書が届く頻度は少なくなった。
届くのは殆どが保険の支払いの通知やカードの決済状況などを知らせる郵便物が多いが、一般の手紙や葉書、小包などがくると何故か心が躍る。しかしながら期待を込めて開封すると意気消沈なんてこともしばしばだが、昨夜の小包は違っていた。竹馬の友、小野正弘君からだった。

以前他のブログでも何度か紹介したことがあるが、彼は幼少の頃から頭脳明晰で、小学の頃から、将棋対局の後に棋譜を全て暗誦していた。百数十手に及ぶにも係わらずだ。ましてや将棋を始めて間もない10歳か11歳である。
現在の彼は、国語学者として明治大学(教授)の教壇に立ち、国語辞典などの編集に携わっている。
特に擬態語・擬声語のオノマトペ研究では知る人ぞ知る存在であり、昨年(2013年)の6月11日放送のクローズアップ現代(NHK)では解説者として出演していた。

三省堂の国語辞典も以前から編集に携わり、今回出版の三省堂現代新国語辞典 第五版 は主幹として編集に就いていた。
岩手縁の国語学者では、金田一京助翁や息子の春彦さんがつとに有名だが、同郷の地元一関市出身者では、日本初の近代的国語辞典『言海』の編纂者である大槻文彦(1847年12月22日~1928年2月17日)翁がいる。その後継者として、国語学の真髄をとことんまで追求し、日本の国語学を牽引していってもらいたい。

私たちは、毎日、大量で複雑な情報のなかで生きています。この情報を、書きとめ、整理し、体系化するものが、ことばであり、それを効率よくまとめたものが、辞書です。未知の情報は調べて増やし、既知の情報だと思っていることでも確かめてさらに堅固なものにする、そのためのツールが辞書です。     現代新国語辞典(第五版)まえがきより

昨今、パソコンや電子辞書の普及により、利用される機会が減った紙ベースの辞書だが、やはり何といっても紙は紙の良さや利点がある。
手に取ってその重さを実感し、一枚一枚ページをめくる事によって知の探求心が深まり、濃い記憶として脳裏に刻まれるのではないだろうか。
例え面倒であっても、その基本姿勢を貫きたいと思った輓近の心情を、ここに記しておきたいと思う。

<小野教授が過去に出版した書籍の一部>
三省堂現代新国語辞典 第五版
オノマトペがあるから日本語は楽しい―擬音語・擬態語の豊かな世界 (平凡社新書)
擬音語・擬態語4500 日本語オノマトペ辞典
NHKカルチャーラジオ詩歌を楽しむ オノマトペと詩歌のすてきな関係 (NHKシリーズ)


小野研究室のホームページ


                                             オノマトペと短歌 

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