エッセイコーナー
327.一関・文学の蔵30年記念事業「小野正弘教授(明治大学)講演会」  2018年9月23日

オノマトペ研究の第一人者として知られる、明治大学の小野正弘教授 による「“日本語の魅力再発見”オノマトペ(擬音語・擬態語)のおもしろ世界」と題する講演が、昨日(9月22日)、岩手県一関市田村町の世嬉の一 クラストン(石蔵ホール)で行われた。
並べてあった椅子が足りず、急遽奥から取り出す程の盛況ぶり。
定刻の午後2時から、畠中祥夫(文学の蔵副会長)先生の司会進行のもと、及川和男(文学の蔵会長)先生の挨拶、私の講師紹介の後、小野教授による日本語の魅力に迫る講演が始まった。

オノマトペとはフランス語で、古代ギリシャ語の「オノマトポイーア」から来ており、一般的に「擬音語」「擬態語」の総称を指すが、詳しく分けると「擬声語」や「擬情語」「擬容語」も加わり、あまりにも明確過ぎて遊びがないことから、総称としてオノマトペと云う洋語で表現するようになったとのこと。
因みに「擬情語」「擬容語」は金田一春彦氏が唱えたものらしい。
オノマトペと云う言葉が使われ始めたのは1960年頃から、オノマトペの使い方がうまかったのは宮沢賢治、オノマトペの新語を最も多く作り出し、用いたのは萩原朔太郎だとのことだ。

日本語には4500~5000語のオノマトペがあると云われており、オノマトペは経済活動にもかなり影響を与え、商品名にオノマトペを用いることによって売上を5倍にしたパンもあったとのこと。
また、教育、指導の面でもオノマトペはかなり影響を与えているようだ。
今後新たなオノマトペを作り出し、経済活動や教育の場、勿論文学の創作にも大いに活用すればよいのではないかと、思惟を広げながら聴講したのだった。
因みに、宮沢賢治の『ペンネンネンネンネン・ネネムズの伝記』を取り上げ、オノマトペを攻略するには宮沢賢治のオノマトペを攻略することだとの小野教授の講話に、早速図書館に走ろうかと思った次第である。

講演会終了後に、3,000円会費で交流会があり、小野正弘教授を囲んで親交を深めた。
出席者全員による自己紹介の最中、次から次と美味しそうな料理が運ばれてきた。広めの円卓の上には世嬉の一酒造自慢の地ビールなど、隙間がないほどの料理や飲み物が沢山用意された。
「あれっ、3,000円会費だった筈」とふと思ったが、いちのせき文学の蔵の館長は、当世嬉の一酒造の佐藤晄僖会長(現・一関商工会議所 会頭)である。出席者への心温かな気遣いであることを、皆感じていたのではないだろうか。心底から感謝申し上げたい。

フォト短歌「ヤンチロ」 伊藤英伸

その他の写真(いちのせき文学の蔵ブログ)>>

※小野正弘教授の経歴など(2018年9月現在)

 出 身:岩手県一関市舞川 1958年生まれ
 学 歴:高校…岩手県立一関第一高等学校
     大学…国立東北大学文学部(大学院前期・後期)

 職 歴:東北大学文学部(1985年~1986年 助手)
     鶴見大学文学部(1986年~2000年 講師・助教授・教授)
     明治大学文学部(2001年~現在 教授)

 テレビ出演
    ・クローズアップ現代(NHK)2013年6月11日放送 メイン解説者
    ・この差って何?(TBS)2017年12月26日放送
    ・日本人のおなまえっ!(NHK)2018年5月4日、9月3日放送
    ・チコちゃんに叱られる(NHK)2018年9月14日放送
     ほかラジオ放送等多数出演

 著 書:日本、語源大辞典(小学館 2005年)
     日本語オノマトペ辞典(編著)(小学館 2007年)増刷あり
     オノマトペがあるから日本語は楽しい(平凡社新書 2009年)
     三省堂現代新国語辞典 第四版(三省堂 2011年)編集員
     オノマトペと詩歌のすてきな関係(NHK出版 2013年)
     三省堂現代新国語辞典 第五版(三省堂 2014年)主幹編集員を務める
     感じる言葉 オノマトペ(角川学芸出版 2015年)
     くらべてわかるオノマトペ(東洋館出版 2018年)
     三省堂現代新国語辞典 第六版(三省堂 2018年)主幹編集員を務める

 公 職:日本近代語研究会会長 日本語学会副会長

 趣 味:将棋3段 囲碁3段 など


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