エッセイコーナー
807.第43回中尊寺西行祭短歌大会  2023年4月29日

昨日、関山 中尊寺(天台宗東北大本山)の光勝院を会場に、第43回中尊寺西行祭短歌大会が、選者に日本歌人クラブ会長藤原龍一郎先生をお迎えして開催された。
コロナ禍で聚合しての歌会を断念して以来、昨秋9月の第42回大会に続き2回目の歌会となる。
今回の応募数は140首、遠くは熊本県や山口県、広島県からも寄せられた。

午後1時より、西行法師を偲び中尊寺の僧侶らによる追善法要の後、大会が始まった。
一関地方短歌会顧問の小野寺政賢氏の開会の言葉の後、菅原光聴中尊寺執事長のご挨拶。続いて講師紹介の後、藤原龍一郎先生による「コロナ禍を歌人は如何に詠ったか」を演題に講演が始まった。
嘗て経験したことのない程の「自粛」や「三密」と云う言葉に翻弄されたコロナ禍、歌人たちはどのような思いで三十一文字に向き合ったのか興味があった。

住む場所の違いや職業の別などによって、コロナに対する思いや向き合い方の違い。年令によってもコロナに対する見方が異なる。
また、私がコロナの怖さを実感したのは志村けんさんの死だったが、おそらく日本国民の多くがそう思ったのではないだろうか。志村さんの死を詠んだ一首を見て、改めて当時を思い出しながら、理路整然として滑舌の良い藤原先生の講演に耳を傾けたのだった。

その後休憩を挟み、歌会が始まった。
時間が限られていたこともあり、1首につき1分程度、出席者全員分の講評をいただいた。
藤原先生のアドバイスは、実に的確で、とてもわかり易く、しかも今後の歌作の励みになるような、光明を頂戴したように思う。今後の歌作の際には先生のご教示を思い出しながら、秀歌詠草に励みたい。
その後、暫し休憩の後、入賞歌の発表、そして表彰式へと順調に進んだ。

<結果表>
中尊寺貫首賞  
 看護する力を吾に与へ給へと母を見守る病室で祈りぬ      大船渡市 橋爪 敬子
平泉町長賞
 平泉の駅のホームに子育てのツバメの家族に会える春来る    青森県 音喜多 京子
平泉観光協会会長賞
 翔ちゃんの積み木ころがり通せんぼ悪戦苦闘の仔猫ミーちゃん  宮城県 遠山 勝雄
岩手日報社賞
 稼ぎ来て八十路半ばを今もなお花巻雛を愛しく飾る       北上市 多田 テル
IBC岩手放送賞
 野ぶどうの蔓断ち切れば絶え間なく夕日含みてしたたる樹液   奥州市 安部 譲
岩手日日新聞社賞
 わたしには水あり灯ある日常を心つましくウクライナ思ふ    盛岡市 照井 方子

<佳作入選>(芳名のみ)
 福島県  今野 金哉
 宮城県  千葉 秋夫
 静岡県  高田 圭
 東京都  森田 小夜子
 奥州市  小野寺 洋一
 一関市  阿部 昭代
 紫波町  佐々木 さやか
 和歌山県 松田 容典

閉会式の前には、上位6賞の入賞ポイントなどを詳しく藤原先生のコメントをいただき、私のみならず会場の皆さんも、今後の歌作活動に、大いに参考となったのではないだろうか。
元・平泉町議会議員の寺崎敏子さんによる謝辞を最後に、第43回中尊寺西行祭短歌大会の一切を終了した。
今回も司会進行を、先輩の斎藤のり子さんの助けもあってなんとか無事に終えることが出来た。
私には不向きな司会進行役、何度やっても慣れそうにない・・・。

それにしても昨日はあまりにもハードだった。
西行祭短歌大会も大変だったが、一関・文学の蔵『ふみくら7号』の締切日とあって、事務所に戻ってメールを開けてみると大変なことになっていた。
空腹状態では苛立つばかり・・・。取り敢えず、腹を満たしてから作業に取り掛かることにしたのだった。


フォト短歌「手の胼胝」 フォト短歌「真緑のミズ」

私は写真を撮る余裕もなかったので、中尊寺の菅原執事長FBの写真をご覧頂きたい。


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