エッセイコーナー
153.斎藤實誕生祭  2015年10月25日

第30代総理大臣斎藤實翁の生誕祭が、岩手県奥州市水沢区字吉小路の生家(現在は記念館)で式次第に則って予定通り行われた。
まず初めに地元顕彰会の合唱団の皆さんが音頭を取り、斎藤實顕彰歌「偉大なる面影」を皆で斉唱した。その後顕彰会の吉田英男会長による内容の濃い挨拶があり、奥州市小沢市長と議長(副議長)の挨拶があった。
続いて先日(9月12日)行われた第8回斎藤實・春子夫婦を偲ぶ等短歌大会の入選者の表彰式が行われた。その後に、国立図書館政治史料課の中嶋恵子さんによる、「憲政資料室と斎藤實関係文書」と題して講演があった。

記念館の職員を除き、会場はほぼ99.3%ぐらいは人生の大先輩ばかりが占めるなか、ポツリと一人、容姿端麗なうら若き女性が、しかも上座に席を取っていたので気になっていたが、合点がいった。

不肖私も、第8回斎藤實・春子夫婦を偲ぶ等短歌大会の佳作入選者の一人として、末席を汚すことになった。
会場に着くまではもっとざっくばらんな表彰式かと、安易に臨んだが、威風漂う顕彰会の大先輩方々、東京より斎藤實翁のお孫さんも出席されるなど、流石に元総理の生誕祭となると重厚で厳格な雰囲気が漂っていた。
そんななかで、佳作とはいえ授与式に参列できたことは名誉であり、ましてや立派な額入りの賞状や図書カードは嬉しかった。是非とも来年度はランクUPを目指して、うた作りに励んでいきたい。

国立図書館員の中嶋さんの講演のなかで、斎藤實関係文書についての説明によると、斎藤實に関する資料が国立図書館に約1万点もコレクトされているとのこと。1文書の平均が約700点。そのことからもかなり重要視されていることが伺える。
混沌とする国際情勢のなかで、斎藤實翁の平和を重んじ、国際連盟脱退を冷静なる先見性をもって判断し、阻止しようとした。しかしながら結局は2・26事件を引き起こすなど、強硬をよしとする当時の社会の趨勢には勝てなかった。

先般、集団的自衛権の行使が容認され、南京事件の世界記憶遺産登録をめぐり、ユネスコに対する強硬姿勢が目立つ今日の日本。いや、今の政府。
はてさて、斎藤實翁が生きていれば、おそらく「ちょっと待ちなさいよ」「短気は損気だよ」「冷静になって考えなさいよ」と云ったのではないだろうか。


斎藤實記念館にて(私のエッセイ集“よろづの遊び場”)    その他の写真>>



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