エッセイコーナー
646.厳冬期を前に「三重課税、燃料代の行方や如何に」  2021年12月13日

油代の高止まりが続いている。
北国ではこれから厳冬期を迎え、灯油の需要が更に増すばかり、はてさて、困ったものだ。
コロナでやられ、大手資本に喰われ、益々厳しさを増す今日此頃。
我々地方で暮らす者にとって、移動手段は何と云っても車。仕事に行くにも、買い物に行くにも、病院に行くにも車頼みだ。ガソリン価格の高騰が続くと、チューチューと血液は吸われ、ザリザリと肉は削がれ、やがて骨と皮のみになりそうである。

タックス・オン・タックス、つまり二重課税の問題は以前から問題視されている。
ガソリン税の中には揮発油税+地方揮発油税などがあり、更にはガソリン料金全体にかかる消費税が加算される。つまり二重課税、いや、三重課税となる。

2010年7月、二重課税に当たるか否かが争点となる裁判があった。
相続税の課税対象となる年金に対して、更に所得税として課税されることについて、二重課税に当たるか否かが争点となり、最高裁判決で国側が敗訴となった。
長崎市の女性(49歳)が、一審の長崎地裁に於いて二重課税であると勝訴した後、二審の福岡高裁では、課税は妥当なものだと一審の判決を覆す結果を出したのに対し、不当な判決であると最高裁に上告。最終判決では勝訴となり、二重課税が認められたのだった。

その二重課税の最たるものが、ガソリン税であろう。
都会のように、公共機関など移動手段がいくつもあればガソリンに拘る必要もないだろう。しかしながら我々地方、特に北国の田舎に暮らす者にとってはガソリンの高騰や灯油代の高止まりは死活問題とある。

先月の記者会見で、松野博一官房長官が「トリガー条項の凍結解除」に対して、馬鹿げた理由で否定的な見解を示した。
トリガーとは「引き金」と云う意味で、あらかじめ決められた条件を満たした場合に発動されるのがトリガー条項だ。
トリガー条項は、2010年度の税制改正でガソリン価格の高騰時に、揮発油税や地方揮発油税などを引き下げる為に導入された。

原油価格の値上がりなどでガソリン価格が高騰した場合、ガソリン税の一部を引き下げるなどの取り決めだが、翌年の3月11日に発生した東日本大震災の復興財源確保が最優先の為、トリガー条項は一時的に凍結され、今も続いている。
確かに、法改正の手続きもあり、時間がかかるとは云え、「揮発油税」と「地方揮発油税」の特別税率分(以前は暫定税率だった)は1リットル当たり25.1円と大きく、早急に、スピード感を持って凍結解除の実現を目指していただきたい。

残念ながら政府は、トリガー条項云々ではなく、ガソリン価格が1リットルあたり170円を超えた場合、元売り会社に補助金を出して価格の高騰を抑えようとしているが、補助金は元売り会社や小売り業者の懐を暖めるばかりで、果たして我々消費者、一般の国民への恩恵はいつになるのだろうか。
厳冬期はもうすぐそこに迫っている。


フォト短歌「紫式部」  



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