エッセイコーナー
853.救世主となるか? 新エネルギー「ドリーム燃料」  2023年9月7日

福島原発の処理水問題がかなり尾を引きそうだ。
ALPS処理にかけても取り除くことが不可能とされるトリチウムを、薄めて海洋に放出し、希釈させる為の海洋放出が8月24日午後1時から始まった。
この海洋放出処理の方法は日本のみならず、原発所有国の殆どがこの方法で処理している。
この海洋放出については、国際基準に合致するとして、国際原子力機関(IAEA)が支援続行を表明している。

また、ALPS処理水は放出前に大幅に薄められ、トリチウムの濃度は国の定めた規制基準の40分の1未満、WHOが定める飲料水基準の約7分の1未満との科学的根拠の下での放出となった。
ただ問題は、福島県漁協など関係者らとの取り決めとして、納得のゆく説明の後に放出することになっていた筈。
納得を得られないまま放出されたことはやはり問題だと云わざるを得ない。

とは云え、汚染水を一時保管する為の貯水タンクにも限界がある。罷むを得ない事情を察するに余りある。
今回の海洋放出に対して、科学的根拠を無視したC国などから厳しい批判を浴び、風評被害を更に拡大させようとする愚行、蛮行には憤りを覚えずにはいられない。
然しながら、ただ単に敵愾心を持つのではなく、冷静に判断し、沈着に対処すべきことは云う迄もない。
海洋に放出されたトリチウムの濃度測定など、永続的に、徹底的に、正確な数値を公表することは勿論、検査する機関も中立的な立場の組織(ICRPやUNEP、WHOなど)に依頼する必要があるのではないだろうか。
放出当事者である東電サイドのみの検査では、信憑性に欠けると云わざるを得ない。全て正確に、正直に、しかも懇切丁寧に公表すべきである。

今回の海洋放出問題のみならず、核のゴミ問題は未だに解決されていないのが実状だ。
フレコンバックに一時保管された汚染土の処理を、道路の補強剤等に使用されるなど、果たして安全性に問題はないのだろうか。
「核のゴミ」と云われる高レバル放射性廃棄物の最終処分については、ガラス固化体にして地下300m以下に埋設保存する方法が有力とされている。
ただ、問題なのは、最終処分地は未だ決まってはいないことにある。候補地は2・3箇所あるとのことだが、現在は「文献調査」の段階とのこと。

核のゴミは1966年7月、東海発電所の原発稼働を皮切りに既に56年間。NUMOによると今現在、全国の使用済み核燃料は約1万9千トン。 再処理後の既存分と合わせると約2万6千本のガラス固化体が出来るとのこと。  
既に莫大な量の「核のゴミ」が、行き場を失ったまま静かに終着地に移送されるのを待っている。
「トイレなきマンション」とは良く云ったもので、確かに、とてもじゃないが住めたものではない。
いずれにせよ、ひとたびコントロールを失えば制御不能な手のつけられない危険極まりない物質「核」。まるでブラックマンバやキングコブラと同じ部屋で寝起きを共にしているようなものである。
やはり、直ぐにとは云わないまでも、廃炉、廃棄を模索すべきではないだろうか。

とは云え、勿論電気の供給が脆弱では困ることになる。
その為には何らかの代替え発電、電力案が必要となる。太陽光や風力、開放型らせん水車発電などを含む水力発電など、再生可能なエネルギーの導入や更なる強化は云うまでもないが、俄に今、注目されているのが「火力発電」である。
火力発電と聞くと、石炭やガス、石油等の化石燃料を真っ先に思い浮かべるが、地球温暖化対策に逆行することになる。
然しながら今後更に、注目を集めるであろう画期的な新燃料が、京都大学名誉教授の今中忠行博士発明のドリーム燃料「人口石油」である。

その原料となるのが「水と大気中の二酸化炭素」。
特殊な光触媒を用いてラジカル水を作り、CO2と種油(軽油や重油、灯油など)を反応させて作るらしい。
大気中のCO2を原料にすることから、カーボンオフセットとしても極めて有効であり、効果的である。
しかも、兎に角安価である。
1リットルあたり14円だそうだ。
18リットルのポリ管を満タンにしても252円である。実に有り難く、素晴らしい発明なのである。
今のところガソリンは難しいとのことだが、軽油と灯油の精製は可能だそうだ。
工場用の燃料として、工事用重機や車両、運送用トラックや暖房用燃料として十分に利用できる。

今のところサブスクのビジネスモデルとして、精製装置を貸し出す方式を採っているとのことだが、大阪府や大阪市、大阪商工会議所で構成する「実証事業推進チーム大阪」が支援しているそうだ。
ガソリン代や電気料金、その他諸々の物価高騰により、我々一般庶民の生活は大変貧し、窮している。
「民の竈」に煙が上がるように、一刻も早く天の声を届ける必要があるのではないだろうか。
その為にも、半導体への梃入れ同様、管理通貨制度の下で通貨発行権を有する国が主体となり、強力に推し進める必要があるのではないだろうか。
そのことにより、危険極まりない制御不能な原発依存から脱皮できるのではないかと、大いに期待している。


フォト短歌「鎌刃」

その他の写真>>


≪return    Tweet   
 スポンサード リンク (Sponsored Link)
  注:当サイトは著作権を放棄しておりません。引用する場合はルールをしっかりと守るようご注意願います。