エッセイコーナー
316.篠弘館長の特別講義  2018年8月1日

昨日、北上市の日本現代詩歌文学館で、篠弘館長によるありがたい講演があった。
「いのちの凝視―茂吉と空穂」と題して、斎藤茂吉の代表作12首と窪田空穂の秀歌12首を取り上げ、英明で周密精到な解説を展開された。
斎藤茂吉『小園』傑作の一首、「沈黙のわれに見よとぞ百房の黒き葡萄に雨ふりそそぐ」は、敗戦の歌として、茂吉が山形県上山市に疎開した当時の作とのこと。
茂吉は戦意高揚のプロパガンダ的な歌人として、軍に利用され、結果的に戦争に同調したことに後悔の念を感じたのか、疎開先からなかなか戻ろうとはしなかったようだ。

一方、ヒューマニストである窪田空穂は、反戦思想を根底に、自然主義に呼応し、人間を肯定する作品が多い。
「謝すべきは誰にかあらむこの我を飢ゑしめざりし世にぞ謝すべき」
飽食の現代、肝に銘ずべき一首。
本性を遂げ、自我をいとおしむ歌に、空穂の真髄を垣間見ることができるのではないだろうか。
空穂は1967年4月12日、89歳でこの世を去った。年度は違うが、月日は私の誕生日と同じ、著書5冊とも4月12日が刊行日である。そんなことから多少なりとも縁を感じる。

本日、8月1日より、篠弘館長による短歌実作講座受講の受付が始まった。

◆講座日程 (全3回)
【1班】
 9月20日、10月18日、11月15日 〔木曜 14:00~16:00〕
【2班】
 9月21日、10月19日、11月16日 〔金曜 10:00~12:00〕

詳しくは日本現代詩歌文学館ホームページにて>>


フォト短歌「空穂」  


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