エッセイコーナー
296.台北周辺悠々紀行(前編)  2018年3月22日                  3日目以降(後編)>>

初日(2018年3月15日)
「命の洗濯」と称して、4泊5日、息子の留学先である台湾を訪れることになった。
仙台空港を夕方に飛び立ち、台北の桃園空港に着いたのは既に午後8時を過ぎていた。日本と台湾の時差は経度の関係から1時間の時差があり、台湾時間では午後7時頃だった。
到着ゲート前に、既に息子が迎えに来ていた。約2ヶ月ぶりの再会だったが、随分久しぶりに感じた。空港を出て早速駅近くの飲食店街に向かい、腹ごしらえをし、予約してあった北投(ベイトウ)温泉に急いだ。

予約の温泉ホテルは、各部屋の浴槽に温泉を引いており、大浴場も良いがやはりのんびりリラックスできるのは部屋付きに限る。
浴槽に並々と入れたお湯に肩までどっぷり浸かり、旅の疲れを落とし、ベッドに横たわると何時しか夢の中を彷徨っていた。気が付いたのは窓越しに明るむ朝の光が射し始めてからであった。
息子も起きたようなので、「眠れたか」と尋ねると、「親爺のイビキで眠れなかった」とひと言。あと2日の我慢だと諭した。

加賀屋ホテル
 部屋の温泉浴槽  温泉の川  加賀屋ホテル  日本人の旧家  旧家内の様子  地熱谷の様子  地熱谷入り口


2日目(2018年3月16日)
朝食を済ませ、温泉街を散策してみることにした。
ひと月ほど前、迂闊にもアイスバーンで滑り、負傷してしまった左膝と、つい4日前、自治会総会の準備の為に長机を並べる際、右足小指にバタリと落としてしまい、負傷してしまった。内出血によりクロジが寄り、ズキズキと痛む両足を庇いながらの長歩きは非常に辛い。
内心、今回の渡航を諦めようかと思っていた。
しかしながら時期的にも今を除いてはもうチャンスはめぐってきそうにない。

無理を承知で台湾を訪れたのだから、多少の無理、犠牲は已む無し。両足に湿布とテーピングを施しながら散策することとなった。
北投温泉は湯量も豊富で、温泉街を流れる川はお湯であるとのこと。温泉街の中腹には、日本ではお馴染みの加賀屋ホテルが存在感を示していた。
かなり前だが、石川県の加賀屋ホテルに宿泊したことがあったが、かなりの高級旅館である。息子が北投温泉の予約を入れる際、加賀屋ホテルも検討したそうだが、予算の問題もあって結局別のホテルを予約していた。

湯煙に覆われる地熱谷に向かう途中、当初見学予定の記念館に向かったが、工事中の為入館は叶わなかった。
後ろ髪を引かれる思いで止む無く上流に向かうと、直ぐ横に見学出来そうな建物が目に止まった。案内人もいるようなので、取り敢えず入ってみることにした。
建築様式はどことなく日本風で、親近感を覚えつつ奥に進むと、台湾の書家であろうか、趣のある書体の掛軸が沢山掛かっていた。案内人の女性は中国語で一生懸命に説明してくれるが、私はちんぷんかんぷんだった。
息子の通訳でなんとか内容を把握したが、この建物は明治時代?、日本人が住居として建てたものらしい。風呂場跡や寝室の跡などひと通り案内してもらった。なんとなく落ち着く空間であった。

元日本人の住居を後にして、地熱谷へと足を進めた。
近づくにつれ、硫黄の匂いと湯気が鼻と目の刺激を次第に強めていった。
湯面は全て湯煙に隠れ、満々とお湯を湛えていた。
以前は川の直ぐ近くに迄下りられたそうだが、温泉卵を作ろうと誤って地熱谷に落ちた人が亡くなったとのこと。その為、今では川辺に下りることはできなくなったそうだ。

温泉街と云うこともあってか、かなり温かい。いや暑いくらいだ。
岩手との温度差は10度以上、いや20度は違うだろうか。半袖でないととてもじゃないがいられない状況だったが、現地の人の服装をみると殆どが長袖、ジャンパーの出で立ちである。気候の違い、体感の違いをまざまざと思いしらされた。

北投の温泉街を後にして、一路台北市信義区の超高層ビル「台北101」に向かった。昼食を85階のレストランでいただくべく、息子が予約を入れていた。
窓越しに見る台北の市街地は絶景であった。欲を云えば、天気が良ければまた感動もひとしおだったに違いない。
ともあれ、オーダーは単品料理にしようか迷った挙げ句、折角なのでコース料理を頼むことにした。
美味しそうな料理が一品ごとに運ばれ、台湾ビールをいただきながら一品ひとしな堪能しつつ、贅沢な時間、至福のひとときを堪能していた。ところが、コースの中盤あたりからパタリと料理が来なくなった。流石に我慢しきれず、それでも必死に興奮を抑えながら、作り笑いを浮かべて日本語の解るウエイターに「未だですか?」と優しく催促をした。
しかしながら一向に来る気配がなかった。お腹も満腹感を訴え始め、メイン料理を待たずして、「もういいかな~」と思った次第である。

他のテーブルを見渡すと殆どが単品料理を頼んでいたようだ。
10人程の団体客が同じコース料理を頼んでいたようだが、こちらよりも後に来たにも係わらず、早く帰っていった。
おそらく、席のみではなく、料理も予約していたのではないだろうか。
もう二度と来ることはないだろうが、もし万が一また来ることがあったならば、単品料理にするか、コースであれば前もって予約を入れておくべきである。

結局メイン料理を含む後半の料理は、もうどうでもよくなって、残念ながら写真に収めてはいない。
ともあれ、雰囲気だけは十分に味わうことが出来た。
ちょっとばかり不満が残る台北101を後にして、我々日本人にとっては、歴史上諸々の問題が孕むかもしれないが、観光施設としては避けて通れない台北中正紀念堂(記念堂)と、台北最強のパワースポットと云われる龍山寺を、痛む足を引きずりながら見物して回った。
その後、お土産を購入すべく中山に移動し、タピオカミルクティー(発祥の店)で有名な春水堂で夕食を済ませ、二晩の宿となる大安区のパークタイペイホテルへと向かった。
今日はかなりの過密スケジュールであった。


フォト短歌「101」
 地下鉄のオブジェ  地下鉄内の様子 フォト短歌「101」  台北101内の様子  85階からの眺望  台北101内 台北101のオブジェ
101料理1 101料理2 101料理3 台北中正紀念堂
季節の前菜プレート  ヘルシースープ  三色の蒸し餃子  中正紀念堂(横)  庭園の様子 中正紀念堂(正面)  正面の正門
龍山寺 タピオカミルク    
 龍山寺の正門  境内の鹿  龍山寺の飾屋根  龍山寺の本堂  タピオカミルク    

3日目以降(後編)>>


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