エッセイコーナー
655.台湾と岩手  2022年1月15日

岩手県花巻市に県唯一の飛行場、花巻空港がある。
その花巻空港から直通便として、台湾の桃園国際空港間の定期便がある。水曜日と土曜日の運航のようだが、現在は運休中とのこと。
私は今から4年程前、初めて台湾を訪れたことがある。当初はこの花巻空港の定期便を利用するつもりだったが、台湾の大学に留学中の息子の手配もあって、仙台空港からの渡航だった。
台湾と日本は友好的であることから、息子の在学中に是非一度訪れてみたいと思っていた。

台湾を南北にギュッと押し潰すと岩手県になる、と思える程、ある意味似ている。
今から100年以上前、岩手県出身の後藤新平新渡戸稲造、遠野市出身の伊能嘉矩が台湾に赴き、交流を深めながら多方面に渡り台湾の為に尽力した人物がいる。特に後藤新平は台湾総督府民政長官としてそれ迄の武力統治を避け、文治統治をよしとして台湾の近代化に大きな功績を残した。
また、後藤新平が三顧の礼を持って同じ岩手出身の新渡戸稲造を説得し、アメリカから呼び寄せた。後に「台湾製糖の父」と称され、新渡戸稲造も台湾の発展に大いに貢献した。

それらの功績もあってか、今でも日本と台湾との友好関係が続いている。
東日本大震災の折、被災地に対して迅速且つ多大なる支援を台湾の人たちから受けている。
今は亡きエバーグリーン・グループ(長栄集団)の元総裁の張榮發氏からは多額の支援金のみならず、グループ傘下の海運や航空会社への迅速な指示の下、毛布などの緊急支援物資の提供や、また更には、各国政府、国際救助組織の要人や物資を無料で運搬するなど、多大な、幸甚なる支援を頂戴している。
我が国は言葉に出来ない程の恩を受けている。

その台湾をめぐり、残念ながら現在緊張が走っている。
垂涎の的となっている半導体が緊張感を増している大きな要因だとも云われている。
台湾の若者らは「香港の二の舞を演じるのは嫌だ」と、中国からの独立派が増えているとのことだが、台湾総統の蔡英文氏は中国との関係について、「現状維持」を主張してるようだ。
日本もその意向を汲み、中国に対して徹底した対話外交による掩護を、粘り強くやるべきではないだろうか。
スーパーボランティアの尾畠春夫さんの言葉に、「かけた情は水に流せ、受けた恩は石に刻め」と云う名言があるが、その意味をしっかりと噛み締めたいものである。

174.鉄の意志と柔和な心  2016年2月28日


     
フォト短歌「人の恩」  


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