エッセイコーナー
257.東京五輪聖火リレーの行方  2017年8月25日

2020年東京五輪まで、いよいよ3年と迫った。
1年前の昨年9月、希望郷いわて国体が開催されたが、私は開催地の競技責任者として公開競技の準備等に悪戦苦闘した経験があり、準備委員会による裏方の苦労を肌で知っているつもりだ。3年の歳月などあっという間である。
一つの競技のみの準備ですら、あれほど苦しんだことを思えば、ビックイベントであるオリンピックともなれば、各担当者の心労は計り知れない。成功するしないは全て段取り次第なのである。

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、聖火リレーのコンセプトを今月迄にIOCに提出する予定とのことだ。提出済みか否かは定かでないが、2019年の夏迄には大枠が発表されるようだ。
聖火リレーの出発地やルートについて、現在迄の決定事項は、47都道府県全てを通り、100日以内にゴール地点の東京に着くこと、だそうだ。正式なルートやスタート地をどこにするのかなど、今後随時決まっていくだろう。

聖火リレースタート地の候補地として、現時点では昭和39年の東京五輪と同じ沖縄か、或いは東日本大震災の被災地からの2案が検討されているようだ。東京五輪のテーマに、「復興五輪」を掲げているが、そのことから後者の東日本大震災の被災地が有力なのではないだろうか。
先日、宮城県知事らが「原発事故を除き、石巻市が最も大きな被害を受けた」として、小池東京都知事を訪ね、石巻市を出発地にするよう陳情したとのことだ。

石巻市の被災者数は死者3,269人、行方不明者439人、合計で3,708人。石巻市の震災前の人口は約160,394人なので、そのうちの2.31%の尊い命が犠牲となったことになる。
特に、児童108人のうち84人、教職員13人のうち10人が津波にのみ込まれて行方不明となった石巻市の大川小学校の悲劇は、誰もが悲しみ、涙した筈である。そのことを思うと、スタート地として相応しいのかもしれない。

ただ、確かに、被害の多寡云々を交渉材料にするのは如何なものかとは思うけれども、私見で恐縮だが、被災地岩手県民の一人として、大槌町または陸前高田市をスタート地として推挙したい。
前述の石巻市に於ける震災前の人口と死者・行方不明者の割合は2.31%。それに対して陸前高田市は7.63%。更に大槌町は8.11%と最も高い割合となっている。地域全体が壊滅状態であったことは周知の事実であろう。
是非とも、聖火リレーのスタート地の候補地として、叩き台に加えて欲しいものだと、岩手県民の一人として心より願っている。

フォト短歌「聖火」 人口の推移


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