エッセイコーナー
591.11年前の決意  2021年5月13日

11年前の決意とは「禁煙」のことである。
私がタバコを初めて吸ったのは二十歳の時。今から40余年前のことだが、11年前に止めたので約30年間吸っていたことになる。しかも一日3箱。まるでノルマのように殆ど毎日欠かすことはなかった。
以前にも書いたと思うが、タバコを吸ってみたいと思ったのは小・中学生の頃だったと記憶している。

当時、テレビ映画の西部劇に嵌り、特にクリント・イーストウッド主演の『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』やジュリアーノ・ジェンマなどのマカロニ・ウエスタンに嵌りに嵌った。
よれよれのポンチョ、埃に塗れたカウボーイハットに無精髭、そして葉巻。「男子たるもの斯くあらねばならん」と真剣に思ったものだ(笑)。
早速、葉巻(タバコ)をと思ったが、如何せん未だ13・4歳の中学生である。況してや祖父や母は教育者と云うこともあり、成人する迄待たねばならなかった。
それから5・6年の後、待望の二十歳を迎え、念願のタバコを初めてくわえたと云う次第である。

勿論、美味い訳でも、決して身体に良い訳ではないことは十分に分かっていた・・・。
あれから30余年、休むことなく吸い続けたタバコを止めると決めたのが今から11年前の誕生日であった。
健康を気遣って、と云うよりも、肩身の狭さを感じたのが最大の理由だった。
新幹線は全て禁煙車両。喫茶店やレストランでも「店内、或いは敷地内は禁煙です」の掲示看板。くわえタバコで道を歩くと後ろめたさを感じるようになった。
しかしながら30数年間休むことなく、真面目に、一日3箱吸い続けたものだから自分の意思のみで止めるなど、とても自信がなかった。結局、禁煙外来に通うことにした。

病院に行くと最初に体内のニコチン濃度を測り、禁煙用の薬を処方された。
医師からはタバコをいつも通りに吸って構わないと云われ、薬が効き始めるとタバコが次第に不味く感じられ、自然に止められるようになるとのことだったので、医師の指示通りに薬を飲み、今迄通り普通にタバコを吸っていた。
ところが、不味く感じるどころか、医師の言葉に安心した所為もあってか、益々本数が増えたのである。
やがて薬がなくなり、再び病院を訪れ体内のニコチン濃度を測ったところ、普通とは逆に多少増えていたのだ。とは云え、続けることが肝要である。

処方された薬をいつも通りに飲み、タバコを吸いながらもうひと月が経った。
薬が底をついたので3度目の通院。
ところが、ニコチン濃度検査の結果、また更に濃度が上がっているとのことだった。
いやはや、先生曰く「伊藤さん、止める気あるんですか?」との問いに、私はカチンときてしまった。当然止める気があるから禁煙外来に通い始めた訳である。
薬を飲みながらタバコを吸っていいと云うから、普通に吸っていたのだ。しかしながら私の場合は一向に不味いとは感じなかったのである。

病院を出て、その場で薬を全て処分し、自力で止めることを決意した。
それ以来11年間、一本も吸っていない。


フォト短歌「須川岳」



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