エッセイコーナー
244.超忖度「闇黒の霧」  2017年5月28日

以前、指摘した獣医学部新設に絡む忖度の問題が、今更ながら漸く加熱沸騰し始め、薬缶の蓋が吹っ飛びそうな勢いで日本列島を揺らし始めている。
大阪の小学校用地払い下げ問題でも忖度云々が問題視されたが、それとは規模が全く違う。
「大忖度」或いは「超忖度」とでも云うべきであろうか。

その「超忖度」により、国家戦略特区として例外的に許可させたとされる内閣府から、学校設立の許認可権を有する文部科学省への文書(「総理のご意向」「首相官邸の最高レベルが言っている」などを伝えたとされる文書)、つまり「超忖度」を招く内容の文書の有無について、元文科省事務次官の前川喜平氏の「明らかに文書は存在した」との証言が、永田町界隈、いや日本国中に激震をもたらしている。

そのことに対して官邸は、スキャンダルをネタに加藤氏への個人攻撃を展開している。
前川氏が、文科省事務次官の辞任理由となった組織的な天下り問題は勿論許し難い行為だが、また、女性の貧困を実地視察調査することは大事なことだが、出会い系バーへの出入りなどは全く個人的な問題である。

残念だが、官邸による人格否定や個人攻撃はあまりにも醜い。
あまりにも不誠実な対応だと云わざるを得ない。
ダメージコントロールだと揶揄されても仕方がないのではないだろうか。
私が一番失望したのは、菅官房長官の記者会見での発言だ。
「総理の意向」を伝えたとされる文書を、ただの怪文書だとして取り合わないどころか、加藤氏の人格を全面的に否定するような発言には、正直言って失望した。

立場を考慮しての発言だろうが、その辺の世襲議員、職業政治家とは異なり、苦労人として人望も厚く、私は心底から信じ、庶民の心を理解できる人物として大いに期待していた。
勿論、菅官房長官のみならず、閣僚たちも黙殺し、全く無かったことのように等閑視している。
斯くなる上は、加藤氏を証人喚問に招き、我々国民に対して納得のいく説明を期待し、熱望するものである。

昔はどうあれ、権力者の内集団偏向による縁故主義は、今では公平性に欠けるとしてコンプライアンス上の重大な問題と云わざるを得ない。
目に見えない権力の乱用とも云える「超忖度」を、決して見過ごすような社会であってはならないのではないだろうか。


フォト短歌「永田町界隈」  


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