エッセイコーナー
220.「後で!!」は禁物なり  2016年12月16日

今朝方、岩手県南も冷え込みがかなり厳しかった。散歩時の吐く息は真っ白。路肩の草葉はみなカチカチに凍っていた。
その凍えた草々に、朝の浄い光が煌々と音をたてるようにふりそそぎ、色とりどりの反射光が万華鏡のようにキラキラと輝きを放っていた。
眩いばかりに輝く、穏しかるそのフォトジェニックに慌ててカメラを向け、ファインダーを覗きシャッターを切った。
嘗て幾度となくシャッターチャンスを逃し、後悔の念に駆られたことを思い出しながら。

出来不出来はパソコンに取り込んでみないと分からず、何とも云えないが、取り敢えずはシャッターチャンスはものにしたと思っている。
そんな安堵感や焦燥感もあってか、いつもなら撮影後直ちにカメラケースに収めていたが、今朝に限ってなぜか後回しにしてしまったのである。
散歩から戻り、身支度を済ませて荷物を車に積み込もうとドアを開けた。するとその瞬間、「ガチャン」と云う耳障りの決して良くない、鈍く、乾いた音が、アスファルトで締め固められた地面から聞こえてきたのである。

視線を落とし、目で確認する前に、何であるかを咄嗟に察した。
「しまった」「カメラをケースに入れ忘れていた・・・」
底知れぬ後悔の念と自責の念が脳内を電光石火の如く駆け巡った。大失敗、大失態である。
恐る恐る音のする方向に目をやった。
案の定、甲高くて乾いた鈍い音を発したのは一眼レフの愛機であった。
時既に遅し。致し方なし。

止む無く、いたわりながらも静かに手に取ってみた。
全体的には大したダメージは無い様に見えたが、よく確かめてみると、レンズの先に若干の欠けがみてとれた。
それ以外の損傷箇所をじっくりと確認してみたが、外観上は問題なさそうである。
問題は中身だ。
電源が入るや否や・・・。

今朝方撮ったフォトジェニックは果たして残っているのだろうか。
静かに、撫でるように優しく電源スイッチを動かしてみた。
「助かった」
問題なさそうである。
今朝撮ったデータもしっかりと残っていた。
後悔先に立たず!! 
「後でやろう」などと、問題の先送りは失敗の元であると云うことを、またまた思い知らされたのであった。


フォト短歌「散歩路」  

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