エッセイコーナー
67.常行堂二十日夜祭(火たきのぼり)  2014年1月22日

1月20日の大寒の夜、岩手県西磐井郡平泉町大沢の天台宗別格本山「毛越寺」で、除災招福や五穀豊穣などを祈願する常行堂二十日夜祭が、厳かに、そして熱く行われた。
下帯姿の厄男(42歳の厄年)らが、平泉駅から毛越寺迄の間、松明(火を灯す前)を振りかざしながら練り歩く。
沿道にはふるまい酒を用意した地域住民らが待ち受け、練り歩く厄男たちに振舞うのが慣習となっている。
酒を煽った厄男たちは、歩を進めるごとに酔が増し、益々勢いづいていく。

毛越寺門前にたどり着くと、そこで松明に火が灯される。
正門をくぐり抜け、境内に入ると、松明の火を振りかざし、火の粉を散らしながら行列を組む火祭り「火たきのぼり」が雄壮に始まる。
行列は毛越寺本堂を横目に、大泉が池西側の遊歩道を右方向に迂回しながら進むと、曲水の宴が行われる遣水周辺で焚かれている護摩の炎の前を通り、クライマックスの蘇民袋争奪戦が繰り広げられる常行堂へと、奇声を発し、気合を入れながら厄男たちは進んで行く。

魔多羅神が祭られる常行堂の何処かに、福をもたらすとされる蘇民袋が隠されている。
争奪戦開始の合図を受けた厄男たちは、蘇民袋の在処を探す為一斉に常行堂内になだれ込んでいく。
最初に見つけた者が外に運び出し、いよいよ争奪戦が始まる。
一年で一番寒い大寒(ちょっと暖かめの夜だった)の夜だが、その熱気で、辺りは急に気温が上がったように感じる。

私も今から十数年前、厄男としてこの争奪戦に参加したが、実に楽しかった。思い出に残る一日だった。
雄叫びとともに、男の熱き血潮をたぎらせ、本能むき出しの闘争心がメラメラと湧いてくるのを肌で感じたものだ。
「あ~、できることならあの頃に戻りたい!」・・・

争奪戦が終わり、静寂が戻ると、常行堂の中では藤里明久毛越寺執事長が中心となる、「田楽踊」「路舞」「祝詞」「老女」「若女禰宜」「花折」「勅使舞」などの伝承芸能「延年の舞」が厳かに行われ、奉納される。
残念ながら私は、仕事の関係で事務所に戻らねばならず、結局今年も観賞出来ずじまいだった。
来年こそは是非とも最後の最後迄居られるよう調整したい。

下⇓のYouTube動画は当日撮影したもの。平泉駅前に集合し、行列が始まる前の様子から、常行堂前で繰り広げられるクライマックスの蘇民袋争奪戦まで、時系列で紹介している。
だが、残念無念、迂闊にも一眼カメラにバッテリーが入っていなかった。事務所を出る直前迄、十分過ぎる程充電したのだったが、うっかり忘れてしまった。結局今回の撮影は動画のみとなってしまった。
(冒頭のタイトル写真やフォト短歌などは以前撮影したもの)


御神火
火たきのぼり


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