エッセイコーナー
116.無念  2015年1月9日

今日は穏やかな小春日和の一日だった。
まるで春が訪れたかのような、爽やかで清々しい朝の空気に包まれ、今朝の愛犬との散歩は、その心地良さを味わいながらもゆっくりと小路を歩いて回った。
本日、その穏やかさとは打って変わって、悲しい知らせ、一通の年賀状が届けられた。

私が営むトレーニングジムの元メンバーの一人に、非常に真面目で、素直で、勤勉で、心優しく、そしてとても明るい性格の若者がいた。
妹と二人兄弟の私にとっては、こんな弟がいればな~とつくづく思っていたものだ。
元旦には、毎年、その年の出来事や今後の目標などを丁寧に記した年賀状が届いていたが、昨年、今年と届かなかった。
まめで、律儀な性格である。どうしたのかな~と気になっていたところだった。

届いたその年賀状の差出人名を見ると、彼の母親からだった。
文面を拝見し、私は愕然となった。
「息子は2年前の6月、突然クモ膜下出血で倒れ帰らぬ人となった」との内容だった。

彼は未だ40代前半だった筈。あまりにも早い。早過ぎるではないか。
何年前だったか、正確な日時は憶えていないが、社労士(社会保険労務士)の資格を取ったと、報告しに久方ぶりに訪ねてきてくれた。
仕事が忙しいので、なかなか勉強する暇がないと話していたが、次は弁護士(司法試験)にチャレンジしたいと意気込んでいた。「頑張れよ!」と励まし、別れて以来一度も会っていない。

お互い住んでいる行政区も異なり、共通の知人もいなかったこともあって、彼の死を全く知らないでいたが、何とも無念で仕方がない。
おそらく、頑張り屋の彼のことだから、仕事も一生懸命にこなし、勉強も寸暇を惜しんでは、眠い目を擦りながらも一生懸命に頑張ったのではないだろうか。
何とも惜しい人物を失った……。





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