エッセイコーナー
525.納竿の渓  2020年9月17日

今年最後の草刈りも終わり、稲刈り作業や水稲玄米の品位等検査までの間、多少の時間が空いたことから、一昨日、今年最後であろう渓流釣りの竿納めに行くことにした。
前日迄の雨が気にはなってはいたが、予報は曇り、折角なので釣り上げたところを動画に収めようと、アクションカメラ等の充電もしっかりと済ませ、準備万端、お気に入りの渓を目指した。

予想していたよりも流量が多い。況してや濁りがきつかったが、ともあれ、その日を逃しては時間の調整が難しい。
取敢えず竿を出し、さぐりをかけてみることにした。しかしながら一向に引く気配がない。
已む無く、メインの渓を諦め、場所を移動することにした。
今迄は滅多に入ることのなかった支流だが、濁りは然程ではないようだ。これはいけそうだと、逸る心を鎮めながら慎重にブッシュを漕いだ。
頭部にセットしたアクションカムのリモコンスイッチをスタートさせ、早速一投目を投じた。
岩底に隠れているであろう尺余の岩魚を、誘い出すように上流の落ち込みから静かに餌を落とし、目印を確認しながらそっと、ゆっくりと川底をさぐった。

すると、右手人差し指に、「ツンツン」と快然たる感触が道糸を通して伝わってきたのである。
一投目に良型の岩魚がヒットした。指先に伝わる久方ぶりの感触を確かめ、味わいながら慎重に引き寄せた。
ところが、針のかかりが浅かったのか、もうちょっとのところでバラシてしまったのである。
いやはや、残念! しかしながらカメラには収まっている筈・・・。
気を取り直して上流のポイントを目指すことにした。

するとまた好ポイントが見つかり、早速竿を振ると、すぐさま人差し指に好感触が伝わってきた。
しかしながら再びバラシてしまったのである。
已む無く上流に移動し、良さそうなポイントに餌を落とした。するとまたまた好感触が手に伝わってきた。「今度はなんとしても」と慎重に手繰り寄せたが、三度目の正直はならず、三度、バラシてしまったのである。
いやはや、私の腕も随分と落ちたものだ・・・。

結局釣り上げたのは4度目の引きであった。
更に上流を目指そうとしたが、高巻きを覚悟しなければならない。若い当時は躊躇なく登ったものだが、以前苦い経験をしたこともあり、無理をしないことにした。
結局今年最後の釣りは、連チャンのバラシを引きずったままの納竿のもと、畏敬の念を持って山河に心を込めて拝礼し、帰路に着いたのであった。

追記
事務所に戻り、早速Youtubeにupしようと動画データをパソコンに移動しようとした。
ところが、肝心のデータが見当たらない。
「なんだ?」「どうした?」と記憶の糸を辿ると、アクションカムのリモコンスイッチのスタートボタンは押したものの、アクションカム本体の電源を入れた記憶がないのであった・・・。


フォト短歌「滝の音」  


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