エッセイコーナー
17.理想の循環型農法  2010年3月5日

高齢化、後継者不足、米価格の低迷などによる離農が進む昨今、独自のヒロソヒィーを持って夢に向かって着々と歩を進めている人物がいる。
岩手県北上市で農家レストラン「さん食亭」や産直センター「こけめ農園」、(株)パークシーエム等を営む高橋静雄さん、その人である。

高橋さんは13haもの広い敷地内に、桃やプルーン、リンゴや梨などの果樹栽培。ニンジンや白菜、大根など数十種類もの野菜の栽培。そして南部地鶏や小ヤギなどの家畜を飼い、その鶏糞などを利用した有機栽培を採り入れ、収穫したばかりの新鮮で安全な野菜を敷地内にある農家レストラン「さん食亭」の料理として提供している。
また、同じ敷地内の産直センター「こけめ農園」では、隣接する畑や果樹園から採り立てもぎたての新鮮野菜や果物が所狭しと並んでいる。正しく究極の循環型農法の手本がそこにある。

高橋さんが掲げる、食生活に対する理想や流通のあり方や経営という観点から、6次産業という言い方をされている。
1次産業とは生産(農業)、2次産業は加工、3次産業とはサービス(食堂やレストラン)のことをいい、それらを合計して「6次産業」という表現をしている。
これまでのように、農家はただ単に栽培するだけではなくて、直接販売も手がけ、更には加工も行い、さん食亭のように料理としてのサービスをも提供するといった「総合的な産業として捉える必要がある」とおっしゃっている。

今の日本の農業は、生産することのみに執着しているからなかなか上手くいかないのであって、「脳をもって農を制す」自ら生産したものを加工し、お客さんにサービスをも提供できるような態勢を作っていかなければ、「今後の日本の農業は益々厳しくなるのではないか」と実感込めて、遠くを見詰めながら日本の農業を真剣に思い、心配するその眼差しからは、優しさと希望を新たにする強い決意がひしひしと伝わってくるのであった。

3月3日に、高橋さんが経営する農家レストラン「さん食亭」が新装オープンしたばかり。
北上市内を東西に横断する国道107号線を東に向かい、北上川を渡るとちょうど斜め左前方の高台に「さん食亭」がしっかりと見えてくる。
そのまま107号線を遠野方面に500mほど進むと、左側に「さん食亭」入り口と標してある大きな看板が目に止まる。
矢印の通り車を進めていくと右手には果樹園が一面に広がり、前方には産直センター「こけめ農園」と「釣具のつり吉」が見えてくる。

その奥に、奥羽山脈のパノラマをバックに農家レストラン「さん食亭」がくっきりと確認できる。
50台はゆうに停められようか、その広い駐車場に車を停め、エントランスを抜けると広い店内には1.000円でお釣が来る999円のバイキンクの創作料理がずらりと並べられ、その奥は一面ガラス張りになっていて、目の前には奥羽山脈がはっきりと見渡せる。
そして眼下には北上市内の町並みがパノラマとなって広がっている。

形容のしようもないぐらい素晴らしい眺め、抜群の眺望である。その眺めを堪能するだけでも胸が一杯になるというのに、新鮮でしかも安全な野菜をふんだんに使ったシェフ自慢の創作料理、特製のカレーや、絶妙な甘味が残る冬越しの白菜が入った温かい蕎麦。それ以外には、十数種類もの手の込んだ料理やスイーツ、ソフトドリンクを満腹になるまで堪能すると、また更に胸が一杯になるのである。

更には、私利私欲にとらわれず、「世の為、人の為、皆さんが幸せになることによって自分も幸せになれるんだ」と仰る高橋社長の人となりに触れれば、また尚更に胸が一杯になるのである。勿論、お腹もだが。・・・
「至極の幸福とはこの事をいうのだろうな」と、此処にくる度つくづくと思うのである。

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