エッセイコーナー
63.精神性の安定  2014年1月9日

里山資本主義なる著書が巷で人気のようだ。
20世紀の、アメリカを中心に100年をかけて築かれたマネー資本主義に基づくグローバル経済が、ごく一部の世界経済の牽引者たちによって、金融工学に基づく緻密な数学的加工が施されたサブプライム・ローンなどの金融商品が、ニットセーターの一本の毛糸のほつれから、とめどなくほつれ、そしてもつれ、複雑に絡みあった状態となってリーマンなどが破綻した。
それに端を発し、100年に一度と云われる大恐慌を引き起こしたのはつい5・6年前の出来事だ。

ある経済学者による今年の予測では、近々そのリーマンショックに匹敵するほどのドル高ショックが発生する可能性が大だと指摘しているが、そのグローバル経済の対極をなすのが前述の里山資本主義ということになる。 その里山資本主義の源は、開かれた地域主義にあって、その地域内で完結させることにあると著者は述べている。
その地域内で完結させる方法のひとつに、6次産業もその候補だといえるのではないだろうか。

私が住む岩手県では、「いわて農林水産業6次産業化ステップアップ支援事業」を立ち上げている。その支援事業の活用と、国の緊急雇用創出事業の活用を積極化し、失業者の雇用創出も加え、6次産業化を本格化しているある組合が岩手県一関市にもある。 岩手県一関市の北東部、舞川地内の山林約15ヘクタール、約2kmの遊歩道沿いに300種以上、3万本以上のアジサイを定植させ、『みちのくあじさい園』として、景観保全の展開を図り、見頃の7月には多くの観光客で賑わっている。

また、アジサイの開花が終わってからは、色鮮やかで、比較的長期保存が可能なプリザーブドフラワーの加工施設を作り、『みちのくあじさい加工組合』を発足させ、地元の雇用創出にも大いに貢献している。
それらの創設者であり、みちのくあじさい園主の伊藤達朗(71歳)さんは、組合長として兼務する一関地方森林組合が、この度、東磐井地区の森林組合と合併することになった。 組合員の経営森林総面積は5万7270ヘクタール、組合員数8504人、組合員資本(出資金)4億7098万円は県内1位、東北で3番目となる東北屈指の森林組合となった。
氏はその初代組合長の任に就くことになった。

前述の里山資本主義で注目されているのが、オーストリアが世界をリードし、発電などのクリーンで再生可能なエネルギーを、間伐材やおが屑、建築廃材などを利用するバイオマス資源活用事業である。
その事業は、東北の地形や自然環境をフルに活かし、豊富な木材資源を利用するとともに、前出のアジサイを用いた6次産業と並行し、発展させることにより、更なる雇用の拡大を生み、地方の経済のみならず、延いては生き甲斐といった精神性の安定をも、もたらすものだと確信している。

行き過ぎた市場原理主義や、破綻の危険が常につきまとう危ういグローバル経済からの脱皮を、是非とも地方から進めてもらいたいものである。
因みに伊藤達朗さんは、東北の豪族、奥州藤原氏の流れをくむ(文藝春秋2012年4月号 現代の家系7 P348~参照、結構詳しく紹介されている)我々伊藤家の総本家でもある。




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