エッセイコーナー
18.資本福祉大国を目指せ!  2010年4月22日

新党立上げが相次いでいる。元与党だった自民党内も、執行部批判の醜い内部分裂から何人かの議員が党を飛び出し、新党立上げに迷走しているようだ。
新党立上げは永田町だけに止まらず、元地方自治体の長らによる新党立上げもある。それらの立上げにあたり、方針に掲げている内容の中には「法人税引き下げ」などが盛り込まれていた。確かに、景気低迷の折り、経営者側にとっては非常に有り難い話でもある。

企業の存続によって、雇用と経済の安定を図ることは決して間違いではない。ただ、問題なのは経済は生き物であるということだ。
たとえ景気が好転したとしても、問題はその期間である。10年も20年もその好景気が続くのであれば問題はない。
というのも、法人税引き下げによってある程度は企業に余裕も出てくるだろう。そこで問題になるのが、それを社員に還元するか否かの問題である。

このことを、ダム理論に基づいて言うならば、一番上流のダムに、雨水によって蓄えられた水の量が増えることにより、水門を開け下流に流すように、企業も内部留保が一杯になれば従業員や下請けの業者に還元するだろう。
しかしながら、一般的な経営者としての立場で考えるならば、従業員には「ちょっと待ってくれ、もう少し余裕が出来てから給料上げるから」と言うのではないだろうか。
混沌とした今の経済は先が見えてこない。だからこそ不安でしょうがないのである。そうなると内部留保として蓄えたくなるのが至極当たり前の考えと言える。

ということは、当然従業員側にも渡らないということになりお金が廻らなくなる。従って財布の紐は何時まで経っても閉じたままということになる。
勿論、好景気の期間が長ければ問題はないだろうし、あとはその企業の経営者次第といえるのではないだろうか。
ましてや、法人税引き下げによって国の税収も減ることにもなる。
そんなことからも、あまり賛成出来る内容ではないと思うのだが。それよりも、先ず「将来への不安を解消し、老後の安心を確約出来る」社会、世の中にもっていかなければならないのではないだろうか。
もし、その不安さえ取り除くことが出来たならば、安心して箪笥の中に仕舞いこんでおいたお金を、心置きなく使っても良いというのが真理ではないだろうか。

その老後の安心や将来への不安解消となる財源の確保が、非常に重要なポイントなのだが、やはり考えられるのが消費税の増税である。消費税を上げることによって当然一時的に消費意欲を失い、デフレ状態にもなる可能性がある。
しかしながら、その状態に慣れさえすれば何ら問題はないのではないだろうか。慣れというのは恐ろしくもあるが、心強い味方でもある。
かく言う私も、安定した職場を離れ不安定な自営の道を選んだ一人だが、当初は、金銭的な面で、起業する期待感以上に不安が過ぎったものだった。未だに低収入でしかも安定はしていないけれども、それはそれなりの生活をおくれば良いと開き直り、その生活に慣れてくることによって次第に不安も消えてきて、今ではあまりお金に執着しないようになった。

たとえお金がなくとも「何とかなるさ」と、良い意味で開き直っている。
人間欲をかけばきりがない。お金が無ければ無いなりの生活が出来るし、今まで金のかかる遊びばかりやってきたが、今では後悔もしている。寧ろ金のかからない遊びの方が、遥かに健康的で楽しいものであることを今は実感している。
ただ、最低限生きていく上で、必要な生活必需品に限っては別段の考慮が必要である。
更には、一気に上げるのではなしに、段階的に上げるのが望ましいのではないだろうか。

何れにしても、将来への不安を先ず解消することが消費への意欲を生み、景気対策にも繋がるのではないだろうか。
今年の参議院選ではどんなマニフェストを唱えてくるのか注目したいところだが、枝葉の公約は沢山出てくるだろう。
しかしながら、一番肝心な「幹」の部分がイマイチ不透明であっては、判断材料として不適当だといわざるを得ない。
日本を今後どうしたいのか、どのような国家にもっていこうとしているのか、明確に示してもらいたい。
「アメリカ型か、ヨーロッパ型か」の議論は問題ではない。これからの日本のあるべき姿は、「将来への希望に溢れ、老後の心配を解消し、子供らに対する教育の機会を分け隔てなく平等に与え、起業することへの間口を広げ、企業経営の安定化を図り経済の活性化を促す」そんな理想を掲げて、資本福祉大国「にっぽん」を目指すべきではないだろうか。

その為には何度も言うようだが、消費税の増税は避けて通れない必要不可欠な要素であると思っている。
選挙戦に対して、増税論議を口に出すと「選挙戦が不利になる」などと言っている場合ではない。このことは、政治家にも問題はあるが、有権者である我々国民にも問題があり責任でもある。「消費税が上がってはダメだ」とばかり言っていたのでは、何時まで経っても問題は解決されないのであって、何時までも先延ばしにすることではない。
そんなことでは、何時まで経っても「将来への不安」について、解決されないのではないだろうか。
今度の参議院選挙では、各党ともに、日本の国をどのような方向に導きたいのか、その為にはどうすべきなのかを明確に示してもらいたいものである。

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