エッセイコーナー
255.聖老人「天龍杉」  2017年8月19日

ここ岩手県南地域も、雨また雨。
7月下旬に梅雨晴れ宣言があったその直ぐ後から、再び本格的な梅雨入りでもしたかのような愚図ついた天気が二十日あまりも続いている。
長雨や日照不足により、米の生産者として気が気ではないところだが、自然の営みに逆らう訳にはいかない。
致し方なし・・・・・・。

雨と云えば、日本で一番雨の多い場所が鹿児島県の屋久島と云われている。現地では一年に366日雨が降ると云われる程、雨が多い。
屋久島は私にとっては思い出の地でもあり、若かりし頃、修行の地として最初に訪れた場所がこの屋久島だった。
屋久島と云えば、樹齢千年を超す屋久杉がつとに有名だが、現地では千年に満たない杉は「こすぎ」と呼んでいた。
先日、お盆の特番でNHKのドキュメンタリー番組「大捜索ドキュメント! 屋久島“伝説の超巨大杉”」が放送された。
今迄確認された屋久杉の中で、何と云っても縄文杉が有名だ。推定樹齢4000年(一説には7200年)、幹周り約16.1m、樹高約30mと云われる巨大枯木だが、世界最古の植物として世界でも知名度が高い。

しかしながら地元では、それ以上の巨大杉が存在するとの噂が以前からあった。
ただ、屋久島の周囲は約130km、直線距離では東西に約28km、南北に24kmの狭いエリアの中に、標高1936m、九州地方最高峰の宮之浦岳を中心に、中央山岳部は直径約25kmの巨大な花崗岩が貫入するなど、まるで人の出入りを拒絶するかのような急峻な山々と深い渓谷が行く手を阻んでいる。未知なる超巨大杉を探すには、そのなかに分け入り、実際に計測する必要がある。
今回の調査は、最先端のレーダーを駆使しながら航空機を活用し、ポイントをある程度絞り込んだ上で調査チームが向かい、直行することになった。

直行と云っても、専門的なクライミング技術を要するなど、一縷千鈞、虎尾春氷の行いとも云える危険な調査である。
調査チームは、目指す天空谷の奥地に、多くの難所を無事に乗り越えながらも漸く辿り着いた。
「天空杉」と名付けたその巨大杉は、樹高約45m、幹周り約12.43mと、幹周りでは縄文杉に及ばなかったものの、現在のところ縄文杉に次いで2番目の巨大杉が発見された。
ドローンで撮影された45m上空の天空杉先端部は、まるで龍の頭のように見える。
私は敢えて、聖老人「天龍杉」と呼ばさせていただきたい。

屋久島には、未だ嘗て人の踏み入れたことのない前人未踏の場所に、数千年の年輪を積み重ねた巨大な杉が、まだまだひっそりと佇んでいるに違いない。近い将来、縄文杉や今回発見された天空杉を凌ぐであろう、超々巨大杉が発見されるものと期待している。

聖老人

フォト短歌「天龍杉」  

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