エッセイコーナー
865.第18回奥州市民芸術文化祭短歌大会  2023年10月14日

昨日、奥州市文化会館(Zホール)会議室を会場に、第18回奥州市民芸術文化祭短歌大会が行われた。
昨年迄の会場は横町の元市民プラザ(メイプル地下)が会場だったが、栄枯盛衰、時代の移ろいは如何ともし難い。
主催は県南歌人クラブ(羽藤 堯 会長)、選者は岩手県歌人クラブ前会長の八重嶋 勲先生。
昨年も多かったが今年も40首以上の応募と、先日開催の一関地方短歌会の約倍の出詠数である。
入賞は最優秀賞1首。優秀賞2首。秀逸賞3首。入選4首。
他に、参加者による互選賞の表彰もあった。
「短歌の魅力」と題した八重嶋先生の講演から始まり、県南歌人クラブ副会長兼事務局長の高橋忠徳(元・高校校長)先生の整然とした司会進行で、適宜進められた。
歌会に入ると選者の八重嶋先生による明哲で丁寧な講評により、大変勉強になる内容の濃い歌会となった。

結果は次の通り
<一般の部>
最優秀賞(奥州市長賞)
  盂蘭盆の空に太鼓をとどろかせ追善供養の鹿踊り舞ふ      江刺 菊池 悦子
優秀賞(奥州市議会議長賞)
  陽に干しし梅の実廊下にとりこめばむせかへるまで香りを放つ  水沢 阿部 洋子
優秀賞(奥州市教育長賞)
  田園へ差しくる暑き昼の日に数多大豆の葉むら光りぬ      水沢 千葉 令子
秀逸賞(奥州市芸術文化協会長賞)
  秋虫のすだく朝の畑すみに床を湿らせ葱の種蒔く        江刺 菊池 トキ子
秀逸賞(胆江日日新聞社社長賞)
  初盆を迎え忙しき障子替え父の指跡幽かに浮かぶ        一関 伊藤 英伸
秀逸賞(県南歌人クラブ会長賞)
  ふと寿庵たたふる校歌口遊み寿庵堰より稲へ花水        胆沢 岩淵 正力

入選(芳名のみ)
 水沢 小野寺 洋一
 胆沢 阿部 スミ子
 水沢 三浦 律子
 水沢 佐藤 建樹

互選賞
  1位  佐藤 建樹   23点
  2位  佐藤 政勝   21点
  2位  小野寺 洋一  21点
  2位  三浦 律子   21点
  5位  阿部洋子    19点
  6位  菊池トキ子  18点
  6位  羽藤 堯    18点
  6位  松村 雅子   18点
  9位  安部 譲    17点
 10位 菊池 悦子   16点
 10位 千葉 睦子   16点

<高校生の部>
最優秀賞(奥州市長賞)
  夏の夜の水面に映る星空に漣が立ち風を感じる         佐藤 美羽
優秀賞(奥州市議会議長賞)
  汗流し愛馬と共に大きな壁を飛んでいく夏           小野寺 詩音
優秀賞(奥州市教育長賞)
  楽しみは夏が終わりに近づいて木の葉の色が虹になる時     佐藤 妃菜
秀逸賞(奥州市芸術文化協会長賞)
  風感じ自転車で進む桜の道風に舞う花びら香ににほいける    菊池 栄輝
秀逸賞(胆江日日新聞社社長賞)
  夏休みバドミントン部暑い中羽が飛び交う体育館に       佐藤 優奈
秀逸賞(県南歌人クラブ会長賞)
  文化祭みんなでつくる最高の心に残る思い出づくり       千田 菜奈
入選(芳名のみ)
  小澤 琉稀
  加藤 大悟
  佐藤 佑吏
  阿部 菜々心
  村田 祐樹
  小野寺 優夏
  高橋 姫菜
  小野寺 星来
  高橋 莉子
  山口 准

私は昨年、幸運にも優秀賞(奥州市教育長賞)の名誉を授かったが、今年は秀逸賞(胆江日日新聞社社長賞)を頂戴することとなった。
つい先日行われた一関地方秋季短歌大会では市議会議長賞を頂戴したばかり、喜びも一入である。
私は奥州市民ではないが、高校時代は当時の水沢市内で下宿生活を送っていた。
奥州市の当短歌大会の常連だった歌友で高校らいの友人からの誘いもあり、数年前から当大会に参加させていただくようになった。

残念ながら昨年の10月13日未明、その友人が帰らぬ人となった。
昨日が一周忌である。
葬儀には行ったものの、コロナ禍もあってお墓までは行かず、場所を知らなかった。
短歌の会場に向かう前にどうしてもその友人、菊田顕君の眠るお墓に立ち寄り、是非とも焼香をしたいと、菩提寺(大林寺)に問い合わせてお墓の場所を教えていただいた。

墓地は大林寺本堂から1キロメートル程離れた場所にあった。
ご住職の奥さんであろうか、しっかりと描かれた手書きの地図を頂戴し、参考にしながら徐ろに車を進めると、上りきったところに墓地が見えてきた。
駐車場に車を止めようとハンドルを右に切ると、右側に舗装された駐車場、左側にはかなり広い墓地が見えた。その前に車を止めて確認してみると、なんと、第30代内閣総理大臣、齋藤 實翁の墓地であった。
菊田顕君が眠る菊田家のお墓と、齋藤元総理のお墓を焼香させていただいてから短歌会場へと向かったのだった。

738.第17回奥州市民芸術文化祭短歌大会  2022年10月15日
741.菊田顕君に捧ぐ「弔辞 穏しかる寝顔」  2022年10月22日


フォト短歌「父の指跡」  

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