エッセイコーナー
763.高架橋柱1140本沈下の恐れ  2022年12月22日

私は毎朝毎晩、鉄筋コンクリートで重厚感のある新幹線の高架橋をくぐりながら通勤するが、当たり前の風景としてとても身近に感じている。その身近な高架橋以外に、とても印象深かったのが台湾の高架橋である。
今から5年程前、当時息子の留学先だった台湾の新竹市に、台北市から高速バスでの移動の時だった。
台北を出てからまもなく、かなりの高さの高架橋が林立しており、同じ様な高さの高架橋が縦断していることに先ずもって驚いた。

その高架橋をバスに揺られ、車窓から街並みを眺めていると、日本では見かけない中華風建築様式のビルに、異国感を覚えながら見惚れていた。
ふと、その時思ったのだが、もし、万が一、大地震に襲われたらどうなるのだろう。
この30メートルもあろうか高い橋柱は果たしてもつのだろうか、と・・・。
阪神・淡路大震災の折、阪神高速道路が倒壊した映像が脳裏を過ったのだった。

先日の地元紙に、「高架橋柱1140本沈下の恐れ」と云う、然も恐ろしいタイトルに目が点となった。
1140本沈下の恐れ」とは、JR東日本とJR西日本の新幹線を合わせての数のようだが、それにしてもとんでもない数の箇所が危険だ、と云うことである。
内訳はJR東日本管内で約970本。JR西日本で170本。いずれも殆どが現行の耐震補強計画外のものだそうだ。
高架橋倒壊のイメージは、前述した平成7年1月17日発生の阪神・淡路大震災阪神高速道倒壊の映像が真っ先に脳裏を過るが、身近なところでは平成20年6月14日、岩手・宮城内陸地震で落橋した祭畤大橋を思い出す。

地方の高速道路は殆どが盛土の上に舗装し、建設したものだが、都市部は高架橋が多く、新幹線は都市部のみならず地方でも殆どが高架橋の上を走っている。
11年前の東日本大震災や、今年3月16日に起きたM7.4の福島県沖地震でも新幹線の脱線事故が起きた。
もし万が一、橋柱の破断などが起きようものなら被害は甚大である。
「地震はもうたくさん、こりごりだ」と誰しもが思うだろうが、大自然の摂理、自然の営みを誰も止めることは不可能である。況してやいつ何時発生するか見当もつかない。

30年以内の地震確率として、M8程度の地震発生は14%。50年以内は20%。100年以内では40%とみられている。
研究者によっては、ここ30年以内の巨大地震発生確率は70%と予測する専門家もいる。
一刻も早く、耐震補強工事を進める必要がある。
新聞記事の文末に、国交省は「JR各社の財源で対応してもらう」との文言があったが、呆れて物も言えない。
多くの人命を預かる公共インフラは、通貨発行権を有する中央銀行を子会社(下部組織)に持つ、政府、つまり国の主導、責任でやるべきである。

国債の発行で何ら問題ない筈だが、仮にそれが認められないとしても、貨幣観云々を問う迄もなく、財政法4条にあるように建設国債発行は法律でしっかりと担保されている。
整備新幹線は元々国策事業として国(日本鉄道建設公団)が事業主体となって建設したものだ。一民間企業に責任を押し付けるのは如何なものか。
国民の命がかかっていると云うのに・・・。

台北周辺悠々紀行(前編)
台北周辺悠々紀行(後編)


フォト短歌「祭畤大橋落橋」

その他の写真>>


≪return    Tweet   
 スポンサード リンク (Sponsored Link)
  注:当サイトは著作権を放棄しておりません。引用する場合はルールをしっかりと守るようご注意願います。