エッセイコーナー
846.火と水の脅威  2023年8月19日

ハワイ州マウイ島では大規模な火災により多くの島民が犠牲となり、数多の家屋が全焼、倒壊の罹災を被り、灰燼に帰す事態となった。今未だ行方不明者の確認に追われている。
また一方で、中国北京やその周辺では豪雨による水災害で多くの犠牲者を出し、多くの家屋が水没するなど未曾有の災害を被った。
北京周辺の降水がもしマウイ島で降ったなら、お互いに被害が減ったのではないだろうか。
しかしながら自然の諸行、有為、大自然の摂理に人智は及ぶべくもない。

とは云え、自然の理に従い、畏敬の念を持ちながらも災害対策を講じることにより、これ程迄の犠牲者を出さずに済んだのではないかと私は思う。
マウイ島大規模火災の原因となったのが火に弱い木製の電柱など、送電線の構造にあり、北京周辺の洪水をもたらした原因は、浸透性を軽視した近代化による造成工事が原因ではないかとの見方もある。
日本でも東日本大震災の原発事故は明らかに人災と云っても過言ではない。
自然に対する畏敬の念を持たない思慮、配慮に欠けた設計や工事があったにせよ、最大の原因はやはり財源、予算の組み方にあるのではないだろうか。

豪雨災害が相次ぐなか、日本の治水対策費が減らされ、耐震化が遅々として進んでいないと指摘する専門家もいる。
コロナ禍後の経済、特に建設関連の業種が低迷の一途にある。
建設業の倒産は2022年度には1291件と急増傾向にあるとのこと。
その要因として考えられるのが、建設資材の品不足や価格の高騰、それに加えて人手不足。それに何と云っても、ゼロゼロ融資の返済が今月から本格化しており、今尚資金繰りに苦しむ建設会社、のみならず一般の中小企業が今後更に経営危機に陥ることは火を見るよりも明らかである。

もしまた、大災害に見舞われ、いざ復旧工事を急がなければならないと云ったときに、復旧工事を請け負う業者がいないとなれば大問題で、二進も三進もいかなくなる。
しっかりと危機意識を持った政策を立てる必要があるのではないだろうか。
後で振り返り、「杞憂だった」と云われぐらいで良い。

過去最大となる最低賃金の引き上げが決まったようだが、勿論、上げることは良いことである。
しかしながら、何の手当も無しに、「ただ上げろ」では、企業経営者、特に中小企業経営者はたまったものではない。
前述したように、建設資材の不足や価格の急騰、更に固定費である人件費を上げるとなると、経営は厳しさを増すばかりである。
永続的な公共事業を増やし、将来に対する不安を解消させることが先ず以て先決である。
その為には財政法4条の縛りの薄い建設国債云々よりも、先ず、財政観、貨幣観を正し、国債の60年償還ルールなど馬鹿げた縛りを取っ払い、真の意味での正しい財政政策の執行を願うばかりである。

812.防災対策「複合災害への備え」  2023年5月16日  
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フォト短歌「アシナガバチ」


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