エッセイコーナー
349.禍福倚伏  2019年1月3日

昨年も色々あった。
3月には息子の留学先である台湾に行った。私にとっては人生初の海外渡航だった。
出不精の私にとっては、ある意味苦行に近い行為だが、息子が居る間に、との思いから決断したのだった。
今では楽しい思い出の一つとなっている。
また、6月には還暦祝いの同級会が志戸平温泉を会場として、止宿を共にしながら戯歌水游の楽しいひと時を過ごし、旧交を温めた。
しかしながら、楽しい思い出ばかりではない。

私が所属する地元短歌会「游の会」の代表だった千葉利英さんが他界してしまった。氏は剪画(切り絵)作家でもあり、2015年の日本剪画美術展では日本剪画大賞(最高賞)を受賞している。
氏の他界により、「游の会」の代表として私が後任を務めることにあいなったが、果たして務まるや否や。

また、昨年の暮れ、つい4・5日前のことだが、元・日本パワーリフティング協会技術委員長の浅間成敏さんが他界したとの凶報が入った。享年59。あまりに早い逝去である。
氏には今から30年程前、岩手県パワーリフティング協会の設立当初より、多大な支援、教示を頂戴した。今の岩手県パワーリフティング協会があるのも、氏のお陰であると私は確信している。
また、20数年前、協会主催の審判員養成講座の折、技術委員長として指導教官を務められたが、氏の講習は実に分かり易く、そして実に面白かった。ウイットに富み、ジョーク混じりの滑らかな口調は今でも鮮明に憶えている。
競技者としての実績は勿論、本当に惜しい人材を失ったものだ。
ご逝去にあたり、謹んで哀悼の誠を捧げるとともに、安らかなるご冥福を心よりお祈り申し上げたい。合掌!

また、平成最後の年となる昨年一年間を全体的に見渡せば、清水寺貫主が災害の「災」の一文字を選ばれたように、実に災害の多い一年であった。
国土交通省の発表によると、昨年一年間に全国で発生した土砂災害は過去最多の3400件以上、平年の3倍以上だとのこと。地震や火山活動の活発化はもとより、集中豪雨(ゲリラ豪雨)などの異常気象の多発により、彼方此方で多くの災害をもたらした。
その異常気象は地殻変動の活発化に伴うものだとの見方もあるが、多くの気象学者が指摘するように、温暖化ガスの増加に伴う地球温暖化がその原因であるとする可能性が極めて高い。

そうなると寧ろ、自然災害と云うよりかは「人災である」と言わざるを得ない。
身勝手で自己保身の強い超大国のお偉いさんは、自国経済最優先を声高に掲げ、地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」を離脱するなど、常識では考え難い行為に及んでいる。「暴挙」としか云いようがない。
年老いた私の両親は、「今の世の中ますます住み辛くなってきているな・・・」と嘆き、こぼしている。格差社会を助長する政治への不信や不満もあろうが、前述の災害は自然災害と云うよりも人災に近い。子や孫の為にも、手遅れにならないうちに、良心的で常識的な決断を願ってやまない。
新年早々不平不満をまくしたてたが、雨降って地固まり、暗雲の後に清く澄む蒼天が広がることを信じて、新たな年に希望を託したいと思う。


フォト短歌「あらたま」 フォト短歌「御節料理」
     












左の写真は、2007年に秋田市で開催された北海道・東北ブロック大会の折、浅間さんと北村さんを講師に招(秋田県協会)いて講習会を開いた。その時の思い出の1枚である。因みに左奥のサイドレフリーが愚生。


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