エッセイコーナー
146.オノマトペを歌う  2015年9月3日

オノマトペとは、擬声語を意味するフランス語が起源であり、擬声語とは、「擬音語」「擬態語」を包括した総称である。
情景をより感情的に表現する手段として、或いは生き生きとした躍動感を表す言葉としてよく用いられている。
短歌の世界でも、斎藤茂吉の歌集「赤光」833首のうち8.6%に及ぶ72首にオノマトペが使われている。
『死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる』などは、切なさ、物悲しさを助長する擬態語である。
また、著者(下記)と同郷岩手出身の歌人、石川啄木もよく用いていた。
なかでも、『たんたらたらたんたらたらと雨滴が痛むあたまにひびくかなしさ』は代表的な一首である。
また、花鳥風月に重きを置く明治以前の和歌から、俳句の流れをくみ、生活感溢れる身近な題材を短歌に取り入れ、流れを変えたと云われる正岡子規も度々オノマトペを用いている。

そのように、私達の日常生活にも馴染み深いオノマトペを研究する幼なじみがおり、この度、『感じる言葉オノマトペ』が角川選書として出版された。
著者は国語学者の小野正弘(明治大学)教授。
その他の著書、書籍は、『三省堂現代新国語辞典(第五版)』(主幹編集人を務めた)
擬音語・擬態語4500日本語オノマトペ辞典(小学館)
オノマトペがあるから日本語は楽しい―擬音語・擬態語の豊かな世界 (平凡社新書)
オノマトペと詩歌のすてきな関係(NHK出版)』などなど。

メディア出演では、
NHKカルチャーラジオ詩歌を楽しむ オノマトペと詩歌のすてきな関係 (NHKシリーズ)や、2013年6月11日放送のクローズアップ現代(NHK)に解説者として出演していた。

本誌第14節に、「めろめろ」というオノマトペが出てくる。その一部を紹介したい。
「めろめろ」というと、現代では、<なにかある対象を溺愛して甘すぎる態度をとる様子>や<すっかりうろたえて収拾がつかなくなってしまう様子>を意味し、「おじいちゃんは、もう孫にめろめろで……」「会議の途中でひとつすごく痛い質問をされて、あとはめろめろだった」のように用いられる。なにか、ぐずぐずにとろけるようなイメージがある。
しかし、当初「めろめろ」はそのような意味ではなかったようである……。


私の好きなオノマトペのひとつに、この「めろめろ」がある。但し、自身の短歌に用いた記憶はない……。
めろめろの顔文字をキーボードで弄ってみると、?(///∇///)? とか ((((*^}{^*)))) などが出てくる。
「めろめろ」を、私がまず真っ先に思い浮かべるのが異性への溺愛、盲愛のイメージである。考えがあまりにも単純か!
「私はもうあなたに夢中で、もうメロメロだよ」「今はシパーズにめろめろなんだ」などといったように。
語源については、燃え上がるメラメラから転じたとも云われているようだ。
詳しくは本書を手に取ってまじまじと弄って頂き、オノマトペをびしびしひしひしと感じて頂きたい。
その小野正弘教授が、母校の舞川小学校(正確には旧・相川小学校)で、統合後の創立20周年記念式典行事で記念講演を行う事になった。

<一関市立舞川小学校創立20周年記念事業>
日 時:平成27年11月21日(土)
場 所:一関市立舞川小学校体育館  (住所)岩手県一関市舞川館越20−4
記念講演は10:30~11:20(予定)

この文面を見ている同窓生(特に同級生)、或いは小野教授に「是非会ってみたい」「サインが欲しいわ」という方は是非とも会場に足を運んで頂きたい。
また、当日夕方(午後6時頃)より小野教授を囲む会(但しメインは小・中学校同級生)を行う予定。
詳細については私(伊藤)まで。

 

その他のフォト短歌は・・・友が主幹の新国語辞典 オノマトペと短歌 にて


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