エッセイコーナー
182.蝶蛾雲泥  2016年4月12日  

蝶蛾雲泥とは、読んで字の如く「蝶」と「蛾」は雲泥の差があると云う私の造語である。一般的には雲泥万里が当てはまるだろうか。
対極を成す人らによる金の問題が巷で注目を集めている。国民に納税を課す側の公人たちが、租税回避地なるタックスヘイブンでの税金逃れの問題だが、パナマ文書の流出によって急浮上している。
一部報道によるとその総数は1150万件。すごい数だ。  
それによると、タックスヘイブンの恩恵にあずかる各国の首脳たちが、自国の租税逃れの為に合法を盾に隠覆していた問題だ。情報流出の原因となったのがWordpressのプラグインの脆弱性にあるとの指摘である。もともとWordpressはオープンソースなので責任の所在が不透明だ。

何れにしても発覚した内容が内容なだけに、各国の国民感情を著しく刺激している。
「蝶」と「蛾」に例えるならば明らかに「蛾属」に属すであろう北の超大国の首脳は、約20億ドル(2200億円)の巨額な取引があったとのこと。汚職撲滅を展開する隣国の超大国首脳もまた、親戚筋による多額の税金逃れが取り沙汰されている。その他にも多数の各国要人たちが租税逃れで私腹を肥やしているのが現状のようだ。
日本のメディアは特定の日本人にスポットをあててはいないようだが、以前からも指摘されていることだが、日本の大企業はかなりの額にのぼるとのことだ。
東証上場の上位50社のうち45社がタックスヘイブンを活用しており、ケイマン諸島だけの活用に限っても、日本の大企業は55兆円。
アメリカに次ぐ世界第2位の規模だとのことだ。タックスヘイブンの発祥の地とされるイギリスでさえも23兆円とのことである。

デフレ脱却を旗頭に、アベノミクスではダム理論の「放水」を期待して法人税を引き下げた。
しかしながら下げようが上げまいがはなっから払う気が無い訳だから、引き下げの恩恵にあずかりながらも更に増やして貯めた内部留保を、しっかりと租税回避地に蓄える。と云った図式なのだろうか。これ以上云々すると何処ぞの党員と勘違いされるのでやめとくが、こんな状況ではいつまでたっても日本の財政赤字は膨らむばかりだ。
そんななか、「紋白蝶」のように、清貧で心の豊かな素晴らしい人物が地球の裏側から日本にやってきた。本日帰国するとのことだが、言わずと知れた元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカさん(80)である。2012年6月、リオの環境会議(リオ+20)でのスピーチはあまりにも有名だが、そのムヒカさんがとある民放番組のゲストとして質問に答えておられた語録を紹介したい。

「国を治める者の生活レベルはその国の平均でなければならない」
「金が好きな人間は政治家になってはダメだ」
「一生懸命に働くのはいいが、価値のある何かを残すこと」
「一つの幸せを得ることができたなら、周りの人にもおすそ分けすること」
「物欲は限がない」
「周りの人を幸せにすること」

日本の政治家(も)にはかなり耳が痛くなりそうな格言だ。

また、広島の原爆資料館を訪れたときに、「人間は同じ石でつまずく唯一の動物だ」とも話しておられた。
近年、目覚ましい勢いで人工頭脳の研究が進められているが、決して同じ過ち、同じ石でつまづくことのないように、しっかりとした倫理観を持って研究を進めて頂きたい。
科学技術の進歩を止めることは決して良いことだとは思わないが、その利用法については、徹底した倫理観との整合が必要ではないだろうか。


フォト短歌「そらほでり」  



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