エッセイコーナー
868.瀕死の食料問題  2023年10月24日

世界の人口の推移を見ると20世紀に入ると急激に増えているのが分かる。
特に18世紀中頃の産業革命以降伸び続け、1950年には25億人だった世界人口は半世紀後の1998年には60億人。
2022年には80億人と近代の伸びは顕著である。
今から27年後の2050年には90億人以上になると予想され、農水省では約86億4千3百万人との見方をしている。
人が生きていく上で必要不可欠なものと云えば、「衣・食・住」である。
着るものや住む処は勿論だが、やはりなんと云っても一番大事なのは食料である。

農水省の2050年予測の資料によると、世界のGDPは2010年比で3.5倍の225.85兆ドル。86.43億人を養う為の食料需要量は1.7倍の58.17億トンとなり、23.87億トン増えると予測している。
生産量はどうか?
穀物で見ると、2050年には2010年比1.7倍。油糧種子は1.6倍に増加するとみられている。
どうみても世界的には、食料不足は避けられない状況にある。そんな状況のなかで、日本の食料需供率は格段に低い。
「足りなかったら海外から買えばいいじゃん」などと、呑気なアンポンタンもいるが、その買い付け先の海外では不足の状況にある。

自国民を優先的に考えるのが至極当然。どんな国であろうと当たり前である。
況してやロシア・ウクライナ戦争やハマース・イスラエル戦争のような緊迫した社会情勢では、食料の輸入は更に厳しさを増すばかりである。
今現在、日本の食料自給率はカロリーベースでみると38%。食料の輸入は今猶増加傾向にあると云われている。
「旨味のなさ」による離農、後継者不足、高齢化(86%が65歳以上)に伴って農業従事者は減る一方である。
年間平均約6万人のペースで減少(2050年には全体の80%以上減少するとみられている)していると云われ、また、日本の国土の25分の1以上に当たる176万ヘクタールもの農地が、この60年の間に減少しているとのことである。

そんな状況では到底自給率は上がる筈がない。
それに対する国の政策は果たしてどこまで進んでいるのだろうか。
食料自給率の推移(農水省)をみると、2000年代に入るとほぼ横ばい傾向にあるとは云うものの、昭和40年頃から生産額ベース自給率は67.4%。カロリーベースでは52%に迄落ち込んでいる。
不穏な世界情勢のなか、最優先課題として、食料安全保障は誰の目にも明らかではないだろうか。
「国を守り、民を救う」国防の基本は食料安全保障と自然災害に備える防災。他国の脅威から国民の生命と財産を守る国防力の強化は避けて通れない現実である。

その為には、先ず以て財政観、貨幣観、通貨観を正す必要がある。
それらの財源は税金ではなく、「国債で良いのだ」と云うことをしっかりと理解し、自覚する必要があるのではなだろうか。
因みに、先進国のなかで日本は38%の食料自給率(カロリーベース)はドンジリである。恥ずかしさ云々よりも、「日本に未来はあるのか」と心底より心配になる秋の夕間暮れである。

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フォト短歌「遅植えのキュウリ」  


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