エッセイコーナー
842.結草「義を見てせざるは勇無きなり」  2023年8月5日

「春秋左伝」の故事に、「結草」「草を結ぶ」と云う古事がある。
娘を助けてもらった父の霊が、戦場で草を結び、恩人の敵をつまずかせて恩を返したと云う伝説である。
戦争を美化することや、容認するつもりは毛頭ないが、義を重んじ、身命を賭することを覚悟で、巖に刻んだ恩を返そうとした日本人がいたことに、心底より感銘を受けずにはいられなかった。

第二次世界大戦当時、福島県出身の根本博陸軍中将が、在留邦人4万人の生命を守ろうと、ロシア軍の進行を食い止め、北支(現在の華北)の日本人残留者も含めると40万近くの邦人に日本の土を踏ませることに成功した。
その中には私の母や祖母たちもいた。従軍獣医師だった祖父はソ連軍に抑留され、暫く音信不通だったそうだが無事に帰国することができた。

考えてみると、今の私や妹がいるのも、根本博陸軍中将と蒋介石のお陰と云うことになる。
根本博陸軍中将の偉業、難行苦行の陰には当時の国民党党首、蒋介石の協力が大きかったようである。
根本中将は帰国後、敗戦の為GHQの監視下に置かれていたそうだが、八路軍による台湾侵攻の為、蒋介石が窮地に追いやられていることを知ると、矢も盾もたまらず決死の覚悟で台湾に渡ったそうである。

「戦神」と讃えられていた根本博陸軍中将の渡台を知った蒋介石は、三顧の礼を持って迎えたそうだ。
結局、金門島での八路軍との戦いに勝利し、1千万の台湾人を救い、蒋介石への恩を返したとのことである。
その道義、結草の敢行が未だにあまり知られていないのは非常に残念なことだ。

また、台湾人からの恩義として決して忘れてはいけないのが、2011年の東日本大震災の折、雪中送炭として多大な支援を被災地に送り届けた人物、台湾の海運・航空大手のエバーグリーン・グループ(長栄集団)の張榮發元総裁(故)の善行を決して忘れてはいけない。
氏の残した語録は、今尚日台友好の証としてのみならず、義の精神として今尚脈々と受け継がれている。

私も今から6年ほど前、息子の留学先でもあった台湾を訪れ、新竹市や台北周辺の一部を観光したことがある。
その時の見学先に、蒋介石の顕彰施設「中正記念堂」にも立ち寄ったが、当時は根本博陸軍中将との逸話を知る由もなかった。
もしそのことを知りながら訪れたならば、じっくりと時間をかけ、あの広い自由広場を隅から隅まで、結草の念をじっくりと噛み締めながら歩いたにちがいない。

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